台湾の不妊治療技術について
2016年には国際生殖補助医療監視委員会(ICMART)が、2010年時点での世界各国の不妊治療に関する調査結果を発表しました。
こちらのグラフでは、主要国のデータを整理したものを示しています。
さまざまな条件が絡み合っているため、一概には各国の治療の比較はできないものではありますが、ご覧の通り1回あたりの採卵での妊娠率、出生率は国により異なった結果となっています。
不妊のメカニズム
女性の年齢とともに、どうしても卵子も老化が進行します。
そして卵子の老化が進むと、染色体異常が出やすくなり、着床率の低下や流産率の上昇へと繋がります。
そのため年齢の若いうちや、がん治療などで妊娠能力が落ちる前に卵子凍結保存をすることで、将来の妊娠に備えることに繋がります。
未受精卵子の凍結保存では、卵巣刺激を行い、卵巣内で複数の卵子を発育させます。そして育った卵子を採取し、未受精卵の状態で凍結保存をします。一般的に体外受精での採卵と同じ流れとなります。
当院では卵子凍結、将来解凍しての体外受精にも対応しておりますので、ご興味のある方は一度お問い合わせください。
出産の高年齢化
上記のグラフは日本の出産年齢を、30年ほど前と比較し推移を表したものです。
30年前には第1児の出産年齢が平均で26.8歳だったものが、2015年では30.7歳へと上がっています。30年ほどの間に平均年齢が4歳も上昇していることになります。
近年日本では晩婚化が進み、結婚年齢、そして子どもをもつ年齢が急速に上昇しています。
年齢と不妊の関係
35歳を超えると流産率は上がり、40歳では35.4%、45歳では67.5%となります。
年齢とともに流産率が増えてしまうのには、原始卵胞、染色体異常という大きな2つのキーワードがあります。
原始卵胞の減少
卵子の元になるものに、原始卵胞というものがあります。実は女性は生まれる前にピークを迎えており、生まれてきてから新たに作られることはありません。そのため、原始卵胞は年齢と同じ分だけ歳をとり、卵子もその分だけ歳をとることになるのです。
・胎児のとき: 600万個
・生まれたとき: 200万個
・生理が始まったとき: 10万個
そして、1回の月経周期で約1000個が減っていき、年齢が高くなると原始卵胞の数が減っていきます。
染色体異常率の上昇
原始卵胞の数だけでなく、年齢が上がると、卵子の染色体に異常が出やすくなるという問題があります。
減数分裂とは染色体の数を半分ずつに分ける仕組みで、原始卵胞は第一減数分裂の途中でストップしています。その中断している状態から覚めて、本来は半分ずつに分かれるものが、均等に分けることができない、ということが起こります。
減数分裂がうまくいかないと、授精をしても染色体の数が一本少なかったり多かったりします。その場合、受精卵が十分に育たなかったり、育った場合でもうまく着床ができなかったり、着床しても流産してしまう、ということが起こります。
こうした染色体異常は女性の年齢に関わらず起きますが、年齢が上がるほどに原始卵胞も歳を重ねますので、その割合が高まってしまいます。
高年齢化と染色体の異常というのは密接に関わっているものなのです。そのため、当院で行っている着床前スクリーニング(PGS)は、この染色体異常の胚を見分け、正常なものだけを移植するため、着床率を上げ、流産率を下げることに繋がっています。